ヘルシー志向なお菓子は、お菓子ではない?

お菓子について思うこと

最近、健康志向も強まりダイエット中でも食べられるお菓子やお菓子レシピも増えてきましたが、極端に糖質や脂質を減らしたお菓子は、もはや菓子ではないというのは、オーボンヴュータンの河田勝彦パティシェフの言葉ですが、私もそう思います。

オーボンヴュータンのWEBサイトはこちら

スポンサーリンク

あるイベントで、焼き菓子のマフィンが不衛生な環境で作られて保存されたために傷んでしまった事件がありましたが、そのマフィンには、お砂糖が半分しか入っていなかったそうですね。

砂糖を摂取しすぎると確かに太ってしまいますが、砂糖には防腐効果もあるのです。
ダイエットや健康志向に囚われすぎて、無闇に砂糖を減らすと今度は衛生的に問題が起きてきます。

食品が腐るのには微生物が繁殖するからです。砂糖には、この微生物の繁殖を抑える防腐作用があります。砂糖が入った食品が腐ったりしにくいのは、食品の水分を砂糖がしっかりかかえ込んでいて、細菌が繁殖しにくいためです。

防腐の目的で砂糖を使う場合には、少なくとも全重量の半分以上の砂糖を使う必要があります。
ですので、マフィン騒動のマフィンは砂糖が本来の半分しか入っていなかったために不衛生な事故を起こしてしまったと言えると思います。

砂糖には、防腐効果の他にも様々な効果があります。

親水性

砂糖は、水分を吸着する吸水性、吸水した水分を保持する保水性があります。
スポンジケーキやパウンドケーキなど焼き菓子がしっとりとした仕上がりになるのはこのためです。
デンプンが老化して生地が固くなるのを防ぐ役目もあります。

着色性

砂糖が入った生地を焼くと材料の中のタンパク質やアミノ酸と還元糖が加熱されて化学反応が起きて茶色い焼き色がつきます。美味しそうな焼き色がつくというのもお菓子作りでは大切なことだと思います。

バター生地

パウンドケーキなどのバターの効用は、バターを泡立て器でよく混ぜると空気が取り込まれて気泡となってバターの中に分散します。その気泡は、オーブンで加熱して高温になることによって膨張し、体積が大きくなります。これによって焼き菓子が良く膨らむ効能があります。

タルト生地

タルト生地やクッキー生地などでは、バターが薄くなって生地の中に分散し、グルテンの発生を抑えたり、デンプンが粘着するのを防いで生地にサクサクした食感やほろほろとした口溶けの良さを作り出すのです。

シュー生地

シュークリームの生地では、油脂がグルテンの形成を抑え、デンプンの過剰な粘りが出過ぎたらうまく膨らみません。バターなどの油脂を入れることによって、その粘りを断ち切ってシュー生地の伸びを良くしてくれます。

パイ生地

バターと小麦粉と水で出来た生地のそうが薄くなって交互に何層も重なってできているパイ生地ですが、バターと生地の一部の水分が加熱されることによって水蒸気が生まれ、生地を1枚1枚もちあげて隙間の層がいくつもできます。さらに加熱すると水分も飛んでバターの油脂が溶けて生地が揚げられるようにパリッと焼き上がるのです。

このように、お菓子には砂糖や脂質の成分が必要不可欠ですので、太るからとか健康に悪いからと無闇に砂糖や油脂を減らすと衛生面やお菓子を支えるための効能も発揮できにくくなり、本来の菓子ではなくなってしまうのです。

私も極力砂糖や油脂を減らしたお菓子を作っていた時期もありましたが、以上のような理由があるので極端に砂糖や脂質を減らしているお菓子を作ることは、なるべく避けたいと思っています。

最近では、お菓子メーカーの企業努力によってそういうダイエット中でも食べられる夢のようなヘルシーなお菓子も開発されてきていますが、特別な材料を使ったりしているので、高価にもなりがちで、家庭で作るには難しいでしょう。

ですので、私は、血糖値を緩やかにする甜菜糖を使ったり、食物繊維が多いオートミール咥えたり、油脂も代替えでヘルシーなものを使うなど、できるだけヘルシーになるような菓子作りを目指したいと思います。

参考文献 化学でわかるお菓子の「なぜ?」 監修 辻製菓専門学校 共著 中村弘典 木村万紀子

コメント

タイトルとURLをコピーしました