パティシェの現実!超過酷な仕事内容の実態とは?
今までいろんなケーキ屋さんやパン屋さんで働いてきました。
そこで目の当たりにしたのは、過酷な労働です。
華やかなケーキやかわいいパンなどはとても夢があって人の目を引くものですが、その商品を作るのは想像以上に大変です。
初めて就職したケーキ店での一日です。
7時 出勤 店へ出すケーキの仕上げ
9時 本日の仕事内容の確認、スポンジ生地や焼き菓子の仕込み、焼成
10時 開店
13時 昼休憩(遅い時で14時になるときもある。もしくは休憩は取れない)
13時から ひたすらスポンジ生地や焼き菓子の仕込み、焼成(作るものが多すぎて終わらない)
22:00 終業(この時間までエンドレスに仕込みが続く)
これが日常です。そしてクリスマスなどのイベント時には家に帰れません。
仕事でも20キロ~30キロの小麦粉が入った粉袋を抱えたり、運んだり、大きなミキサーボウルにたっぷり生地が入ったものを運んだり、それを手でかき混ぜたりと重労働です。
パン屋で働いていたときの1日のスケジュールです。
5:00 出勤 1日の工程確認。ひたすらパンの成型
10:00 昼休憩
11:00 ひたすらパンの成型
17:30 片付け
18:00 終業(追加の商品出しがない場合。そんなことは稀)
繁忙期で、追加の商品出しがある場合は、22:00終業
このパン店は、流れ作業で、仕込み、成型、焼成、仕上げの部門が決まっていて私はパンの成型の役割を担っていました。
パンは時間が経つとドンドン発酵してきてしまうので、成型時間は、秒単位で素早く仕上げていかなくてはいけません。いろんな種類のパンの成型を大量に,、迅速に成型しないといけません。
パン生地は、デリケートなので強く抑え込んだり触ったりすると生地が傷んでしまって焼成したらパンが割れたり形が崩れたりしてしまいます。そうなると商品にならないので全て廃棄されてしまうので成型にも技術が必要です。
パンによっては、型に入れたり砂糖をまぶしたり具を包み込んだりと覚えることもやることも沢山ありました。みんなのスピードについていけなければ白い目でみられます。
私はこの仕事で体を壊してしまいました。
パティシェの仕事を通して訴えたいこと。
このように、お菓子屋やパン屋さんなどの労働は長時間で重労働です。そして手間暇がかかります。
ケーキの仕上げでさえも、細かいパーツやフルーツを細かく切ったり盛ったりと手間がかかります。
アイシングクッキーやキャラクターが載っているケーキ、立体型のケーキ、マジパンのお人形が乗っているケーキ、それらは目を引きますが普通のケーキ以上の労力と時間と手間がかかっています。
その分、お値段を頂くと「なんでそんなに高いの??」といわれることは多々あります。
これだけの手間暇がかかっていて安く提供しろというのはどうなのでしょうか。
その造形をする時間を使って、普段のお店の商品をどれだけ生産できることでしょうか。
貸し切りと同じようなもので、その時間をつかって普段の商品を作り、売るチャンスを造形に捧げているのだからそれなりのお値段を頂かないと正直、割が合いません。
そういう苦労をしている割には、給料はとても低いです。お菓子やパンは単価が安いわりに、手間暇や労力、材料費、人件費、光熱費などお金もかかるので、削るとしたら人件費が一番手っ取り早いからです。
それでも美味しくて見た目が華やかなケーキ、焼き菓子、パンでしあわせになってほしいから製造することが好きだから私たちは過酷で低賃金な労働でもこなしてきました。
でも、それで無理をして体を壊したり、生活ができなければお菓子そのものを作り続けることはできません。
だから、お菓子やパンというものは安価ではダメだと思うのです。企業努力でなんとかしろ!というのはよく聞きますが、質の良い材料と、質の良い技術を安く提供しろというのは無理があるのではないでしょうか。
パティシェは、過酷労働が当たり前?
「パティシェなんて長時間労働で低賃金なのは当たり前じゃないか!」「好きなことを仕事にしてるんだからいいじゃないか!」といわれ続けてきました。
でも、あなたなら、労力をかけた仕事と給料が見合ってなかったら働く気になるのでしょうか。
好きだからと言ってもお金をいただく労働だから辛いことやきついことだってあります。
楽しくても楽ではないのです。
それでもなんでもやれといわれたらやらなきゃいけないのでしょうか。
消費者も過剰サービスを求めて搾取する。
それを求めた結果、菓子職人はやっていけなくなり、お菓子を作る人は少なくなってしまう。周り周って消費者の不利益にもなるのではないでしょうか。
経営面でも大きな問題があります。
よく中小企業の経営者は、社員にそんなに手厚くしていたら会社が潰れちゃうよ!と言いますが、ある洋菓子店では、スタッフにはあまり無理をさせず、ちゃんと利益を出して社員達に還元している企業だってあるんです。
しかも個人店です。個人店にできることが、大企業にできないはずがないんです。
できないんじゃなくてやりたくないだけです。
会社が潰れちゃうとかそんなこと言ってる時点で、経営失敗してるので、改善できないなら潔くさっさとやめた方が良いです。そんな人に人を雇う資格なんてありません。
人を雇うって、誰かに仕事をしてもらうってことって、それこそそんなに甘くないと思います。その人の人生を背負っているんですから。
他の職種もそうなのかもしれませんが、パティシェの労働環境だって、少しくらい改善しなくてはやっていけません。
こうした裏の事情もあることを知ってほしいと思います。
そしてパティシェを夢見る若い人たちが安心して働ける環境が整ってほしいし、彼らを尊重してほしいと思うのです。
長時間労働など労基法違反なことだけではなく、暴力を振るったり、理不尽な扱いをされて、パティシェには夢が持てないとか、もう働きたくないとは絶対に思わせちゃダメなことだと思います。
仕事が人生のすべてではないし、仕事だけに身を捧げて家族を蔑ろにするのが正しいとも思いません。あなたのパートナーが仕事ばかりで家に帰ってこなかったとしたらどうでしょうか。
この業界の労働環境も改善されてほしいと切に願います。
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